マルチエアコンの配管は再利用できる?冷媒の種類(R22→R32)による違いと注意点

「20年使ったマルチエアコンがついに壊れた。量販店に行ったら『ガスがR22という古い種類だから、配管ごと交換しないとダメ』と言われた」
「壁の中に埋まっている配管を交換なんて、家を壊さないと無理……」
マルチエアコンの交換時期を迎えた方の多くが直面するのが、この「冷媒(レイバイ)ガスの世代交代問題」です。 特に、15〜20年以上前の機種(R22冷媒)から、最新機種(R32冷媒)へ買い替える場合、配管の再利用には高いハードルがあります。
しかし、諦めないでください。 「正しい処置」を行えば、R22時代の古い隠蔽配管でも、R32の最新機種で再利用できる可能性は十分にあります。
今回は、なぜ「ガスの種類」が違うとダメなのかという技術的な理由と、再利用するための必須条件について解説します。
なぜ「R22」の配管をそのまま使ってはいけないのか?

「ガスが違うと言っても、古いガスを抜いて新しいガスを入れるだけでしょ?」 そう思われるかもしれませんが、問題はガスそのものではなく、ガスと一緒に配管内を巡っている「冷凍機油(オイル)」にあります。
1. オイルの性質が「水と油」ほど違う
- 昔(R22時代): 「鉱物油(スニソオイル)」が使われていました。
- 今(R32/R410A時代): 「合成油(エーテル油・エステル油)」が使われています。
この2つのオイルは非常に相性が悪く、混ざり合うと化学反応を起こして「ヘドロ(スラッジ)」を生成します。 古い配管を洗わずにそのまま使うと、残留していた鉱物油が新しいエアコンに入り込み、このヘドロがコンプレッサー(心臓部)の毛細管を詰まらせ、最悪の場合、設置から数日で故障します。
2. 圧力が違う
現在のR32冷媒は、昔のR22冷媒に比べて、運転時の圧力が約1.6倍高くなっています。 そのため、古い配管の「銅管の厚み(肉厚)」が薄い場合、新しいガスの圧力に耐えられず、破裂するリスクがあります(※ただし、家庭用サイズであれば多くの場合、R22用の配管でも耐圧性能はクリアできています)。
マルチエアコンは「普通のエアコン」より再利用が難しい

実は、通常の1対1のエアコンであれば、最新機種には「既設配管再利用キット(フィルター)」が内蔵されていることが多く、ある程度の汚れなら自動で除去してくれます。
しかし、マルチエアコンは再利用の条件が厳しくなります。
- 配管が複雑: マルチエアコンは配管が途中で枝分かれ(分岐管)しており、そこに古いオイルが溜まりやすい構造です。
- フィルターがない: 多くのマルチエアコン室外機には、簡易的な再利用フィルターしかついておらず、大量の残留オイルには対応できません。
そのため、メーカーのカタログにも「既設配管を再利用する場合は、必ず洗浄してください」と注意書きがされています。量販店が工事を断るのは、この洗浄技術を持っていないからなのです。
再利用するための「3つの必須条件」

では、どうすれば再利用できるのでしょうか? 当店のような空調専門店では、以下の3ステップで工事を行います。
- 窒素ガスによる「耐圧試験」
まずは配管に穴が開いていないか(ガス漏れがないか)を確認します。どんなに綺麗に洗っても、配管自体が腐食して穴が開いていたら使えません。 - 専用機材による「配管洗浄」
これが最も重要です。 「洗浄液」と「窒素ガス」を高圧で配管内に流し込み、内部に残った古い「鉱物油」を根こそぎ洗い流します。 - 配管の「ナット(接続部)」を新品に交換
古い配管の接続部分は必ず切り落とし、今のR32規格のフレア加工を施し、新品のフレアナットで接続します。
まとめ:諦めて壁を壊す前に、専門店へ相談を
「R22だから再利用できない」というのは、正確には「(洗浄せずにそのまま繋ぐなら)再利用できない」という意味です。 適切な洗浄工程を踏めば、20年前の隠蔽配管でも現役続行は可能です。
- 壁を壊して配管をやり直す: 工事費 数十万円 + 内装リフォーム代
- 既存配管を洗浄して再利用: 洗浄費 数万円
コストの差は歴然です。 「他店で断られたけど、家を傷つけずに交換したい」という方は、ぜひ配管洗浄の技術を持つ専門店にご相談ください。配管の状態を診断し、最適な再利用プランをご提案します。





