マルチエアコンをやめたい!配管ルートがない部屋への代替案
「マルチエアコンが壊れたのを機に、普通のエアコン(セパレート)に切り替えたい。でも、真ん中の部屋(中部屋)にはエアコンの配管を通す穴もなければ、ベランダもない……」
マルチエアコンの最大のメリットは、窓やベランダがない「行灯部屋(あんどんべや)」にも、壁の中を通してエアコンを設置できることです。 逆に言えば、「マルチエアコンをやめようとすると、その部屋のエアコン配管ルートが消滅する」という深刻な問題が発生します。
「じゃあ、この部屋はもうエアコンを使えないの? 夏はサウナ状態で過ごすしかないの?」 いいえ、諦める必要はありません。見た目は多少変わりますが、マルチエアコンに頼らずにその部屋を冷やす「代替ルート」や「代替手段」は存在します。
今回は、配管ルートがない「陸の孤島」のような部屋に、どうやって普通のエアコンを設置するか、その解決策を解説します。
方法1:隣の部屋を突っ切る「室内横引き工事」

最も確実で、プロが推奨する方法です。 その部屋から直接外に出られないなら、「ベランダのある隣の部屋」を経由して配管を通すという荒技です。
- エアコンを設置したい部屋の壁に穴を開ける。
- 配管を隣の部屋(リビングなど)に通す。
- 隣の部屋の壁を横断させ、ベランダ側の穴から外に出す。
「えっ、部屋の中に配管が見えるの?」と心配になりますが、ここで活躍するのが「室内用化粧カバー」です。 壁紙の色に合わせた白いカバーで配管を覆い、梁(はり)や壁の隅に沿って綺麗に這わせることで、見た目の違和感を最小限に抑えられます。 これなら、マルチエアコンのような特殊な機器を使わず、安価で高性能な標準エアコンを設置できます。
- メリット: 好きなメーカーのエアコンを選べる。将来の交換も簡単。
- デメリット: 隣の部屋に配管カバーが見える。穴あけ工事が必要(マンション規約の確認が必要)。
方法2:既存の隠蔽配管を「1対1」で流用する

「マルチエアコンはやめたいけど、壁に新しい穴を開けるのはNG」という場合の裏技です。 現在壁の中に埋まっているマルチ用の配管が、「室外機置き場まで1本ずつ独立して伸びている」タイプであれば、それをそのまま普通のエアコン用に流用できる可能性があります。
マルチエアコンの配管には2種類あります。
- ヘッダー方式(独立型): 各部屋から室外機まで、配管が個別に伸びている。→ 流用OK!
- 分岐管方式(合合流型): 天井裏などで配管が合流して、1本になって室外機に来ている。→ 流用NG
ご自宅の配管が「ヘッダー方式」であれば、マルチ室外機を撤去した後、その配管に「普通の室外機」を接続すればOKです。 ただし、「電源工事」(後述)が必須になります。
方法3:窓さえあれば「ウインドエアコン」

「工事費にお金をかけたくない」「あくまで寝る時だけ冷えればいい」という場合の最終手段です。 マンションの共用廊下に面した窓などに取り付けられる、窓用エアコン(ウインドエアコン)を採用します。
最近のウインドエアコンは静音性が向上しており、インバーター搭載で省エネなモデルも出ています。 配管工事が一切不要なので、本体を買ってきて枠にはめるだけで即日使えます。
- メリット: 工事不要、本体が安い(4〜6万円程度)。
- デメリット: 壁掛けエアコンよりうるさい。窓の鍵がかかりにくくなる(補助錠が必要)。
忘れちゃいけない「コンセント問題」

マルチエアコンから普通のエアコンに切り替える際、配管ルート以上に厄介なのが「電源(コンセント)」です。
- マルチエアコン: 室外機から電気をもらっているため、室内機周りにコンセントがないことが多い。
- 普通のエアコン: 室内機の横に専用コンセントが必要。
そのため、どの代替案を選ぶにしても、「エアコン専用回路の増設工事(コンセント新設)」がセットで必要になります。 分電盤(ブレーカー)からその部屋まで電線を引く必要がありますが、これも配管と同じくモール(カバー)を使って露出配線で引くのが一般的です。
まとめ:見た目(マルチ)か、実利(セパレート)か
「配管ルートがない部屋」でマルチエアコンをやめるには、正直なところ「見た目の妥協」が必要です。 部屋の中に配管カバーが通ることを許容できるなら、メンテナンスが楽で維持費も安い「普通のエアコン」ライフが待っています。
「どうしても見た目を崩したくない」という場合は、覚悟を決めて再度マルチエアコンに交換するのも一つの正解です。
当店では、「室内横引き工事」の施工実績も豊富にございます。「うちの間取りだと、どう配管を通すことになる?」と気になった方は、お部屋の写真をお送りください。最適なルートをご提案いたします。

