ブログ /

その他

仕事に役立つ情報や面白いコンテンツをご紹介します。

バイバイ、L ありがとう、L

ここは渋谷。

ハロウィンやワールドカップで日本が勝ったとき、
いや、
何もなくても年がら年中、常にお祭り騒ぎの街。

ここは渋谷。

そんな渋谷のパーリーピーポー達をかき分け、
109左側の道玄坂をてっぺんまで登って、
さらにそこから5分ほど歩いたところ。

渋谷とは思えないほどの静かな場所に、
ぽつんと、Lはあった。

30年以上、渋谷のここにあるLは、
人間で言えば、もう60歳を過ぎたころ。

「キレイですね!」
なんて決してお世辞にも言えない外観。

トラップとしか言いようがない程の入口の天井の低さ。
何度頭をぶつけただろう。

そしてLに一足入ると、ここは宇宙のブラックホールなのかと思ってしまうような暗黒。
日当りが悪いのは半地下のような特殊なつくりだから。
デザイン的には逆に先進的とも言えるが、決して実用的では無い。

ブラックホールの様な暗黒地Lには、
「南向き」
「日当たり良好」
なんて地球の概念は存在しない。

そのせいでLは年中寒かった。
特に今の時期、冬はほんとうに、
ほんとうに寒かった。

エアコンの設定温度をマックス30度にしたって、暖房なんかききゃあしない。
30度の温風はエアコンの吹き出し口を出た0.5秒後には、冷え切ってしまう。
そのLに備え付けられたエアコンから出る寒風は、まさに南極の風。

湘南乃風もびっくりの南極乃風。

じゃあつけなきゃ良いじゃん、と言う人がいるが、気休めだけでもつけておきたい。
エコとは完全に逆を行くハーコーなL。

湘南乃風もびっくりのハーコー南極乃風。

そんな南極、Lだけど、
常にぼくたちを温かく迎えてくれた。

終電を逃すまで飲んでもLがあるのは渋谷。
タクシーですぐそこ。
いろんな社員たちが毎週末、Lに来てた。

酔っぱらいながら、締めのカップラーメンを食べたり、
すべらない話をみんなで見たり、
ウイイレでギャーギャー騒ぎまくったり、
ときには会社のことを朝まで熱く語り合ったり、

そんなLに群がるぼくたちは、まるで南極のペンギンのようだった。
ペンギンになったぼくたちは、この南極がものすごく心地よかった。

ペンギンになったぼくたちにとってエアコンの寒風は、南極乃風が奏でる最高のメロディー。
半地下なLは文字通りアンダーグラウンドで、ハーコーな音を響かせている。
渋谷のどのクラブより、ここ、Lのオーディエンスの熱気は最高潮。
一見さんを寄せ付けない、真のパーリーピーポー達がそこに群れていた。

毎週末ペンギンになったぼくたちは、
Lが大好きだった。

色んな思い出があるな。

Lの途中で、ファミマ寄ったな。

Lに来たら、まず足を洗わないとボスペンギンがうるさかったな。

でもボスペンギンは朝ごはん作ってくれて優しかったな。

はじめて来る人は寒さでだいたい風邪ひいてたな。

歯ブラシ、いっぱいあったな。

お風呂入るのにテクニック必要だったな。

爆弾みたいにうるさい目覚まし時計、あったな。

朝、まだ寝てるペンギンを起こさないように、そ~っと出て行ったな。

あのでっかいソファー、どうやって入れたんだろうな。

L、思い出いっぱいあるな。

Lのおかげで、嫌いなあいつとも仲良くなれたし、
Lのおかげで、辛いときでも頑張れた。


でも、


そんなLと、


ついに別れを言わなきゃいけないときが来た。

南極を失ったペンギンは、
この難局をニンゲンになって乗り越えないといけない。

ぼくたちは、ペンギンからニンゲンに戻らないといけないんだ。

Lで何度も朝まで夢を語りつくしたけど、まだ夢の途中。
目を閉じれば億千の夢が見える!

バイバイ、L

ありがとう、L

Share
Categories: その他