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バイバイ、L ありがとう、L
![](/wp-content/uploads/2020/06/299.jpg)
ここは渋谷。
ハロウィンやワールドカップで日本が勝ったとき、
いや、
何もなくても年がら年中、常にお祭り騒ぎの街。
ここは渋谷。
そんな渋谷のパーリーピーポー達をかき分け、
109左側の道玄坂をてっぺんまで登って、
さらにそこから5分ほど歩いたところ。
渋谷とは思えないほどの静かな場所に、
ぽつんと、Lはあった。
30年以上、渋谷のここにあるLは、
人間で言えば、もう60歳を過ぎたころ。
「キレイですね!」
なんて決してお世辞にも言えない外観。
トラップとしか言いようがない程の入口の天井の低さ。
何度頭をぶつけただろう。
そしてLに一足入ると、ここは宇宙のブラックホールなのかと思ってしまうような暗黒。
日当りが悪いのは半地下のような特殊なつくりだから。
デザイン的には逆に先進的とも言えるが、決して実用的では無い。
ブラックホールの様な暗黒地Lには、
「南向き」
「日当たり良好」
なんて地球の概念は存在しない。
そのせいでLは年中寒かった。
特に今の時期、冬はほんとうに、
ほんとうに寒かった。
エアコンの設定温度をマックス30度にしたって、暖房なんかききゃあしない。
30度の温風はエアコンの吹き出し口を出た0.5秒後には、冷え切ってしまう。
そのLに備え付けられたエアコンから出る寒風は、まさに南極の風。
湘南乃風もびっくりの南極乃風。
じゃあつけなきゃ良いじゃん、と言う人がいるが、気休めだけでもつけておきたい。
エコとは完全に逆を行くハーコーなL。
湘南乃風もびっくりのハーコー南極乃風。
そんな南極、Lだけど、
常にぼくたちを温かく迎えてくれた。
終電を逃すまで飲んでもLがあるのは渋谷。
タクシーですぐそこ。
いろんな社員たちが毎週末、Lに来てた。
酔っぱらいながら、締めのカップラーメンを食べたり、
すべらない話をみんなで見たり、
ウイイレでギャーギャー騒ぎまくったり、
ときには会社のことを朝まで熱く語り合ったり、
そんなLに群がるぼくたちは、まるで南極のペンギンのようだった。
ペンギンになったぼくたちは、この南極がものすごく心地よかった。
ペンギンになったぼくたちにとってエアコンの寒風は、南極乃風が奏でる最高のメロディー。
半地下なLは文字通りアンダーグラウンドで、ハーコーな音を響かせている。
渋谷のどのクラブより、ここ、Lのオーディエンスの熱気は最高潮。
一見さんを寄せ付けない、真のパーリーピーポー達がそこに群れていた。
毎週末ペンギンになったぼくたちは、
Lが大好きだった。
色んな思い出があるな。
Lの途中で、ファミマ寄ったな。
Lに来たら、まず足を洗わないとボスペンギンがうるさかったな。
でもボスペンギンは朝ごはん作ってくれて優しかったな。
はじめて来る人は寒さでだいたい風邪ひいてたな。
歯ブラシ、いっぱいあったな。
お風呂入るのにテクニック必要だったな。
爆弾みたいにうるさい目覚まし時計、あったな。
朝、まだ寝てるペンギンを起こさないように、そ~っと出て行ったな。
あのでっかいソファー、どうやって入れたんだろうな。
L、思い出いっぱいあるな。
Lのおかげで、嫌いなあいつとも仲良くなれたし、
Lのおかげで、辛いときでも頑張れた。
でも、
そんなLと、
ついに別れを言わなきゃいけないときが来た。
南極を失ったペンギンは、
この難局をニンゲンになって乗り越えないといけない。
ぼくたちは、ペンギンからニンゲンに戻らないといけないんだ。
Lで何度も朝まで夢を語りつくしたけど、まだ夢の途中。
目を閉じれば億千の夢が見える!
バイバイ、L
ありがとう、L